空気の気持ちよい日に、
8階の非常階段に久しぶりに出てみた。
実家に行く道はマンションの角で見えなくなる。
右手の公園は小さな森。
4面あるテニスコートも見えない。
野球場のナイター照明が出番待ちしている。
通った小学校も中学校も生まれた産院跡も
町並で見えないだけ。
夕陽が六甲山麓の峰に沈む準備をしている。
オレンジが濃くなった太陽に黒い雲の筋が見事に平行に二本、
右から夕陽に入った。
“ビックマック”
になった夕陽は峰にお尻をつき、
見知らぬ国の朝日になりに、
普通ハンバーガーで六甲の向こうに静かに沈んだ。
空と雲はパープルのグラデーションと、
夕陽の残照でまだまだ楽しませてくれている。
この時間に伊丹空港に離着陸する飛行機は幸運だ。
旅客機は、今日一番きれいな空をバックに
六甲に白い腹を見せながら左旋回で急上昇していく。
山がのっぺり黒くなってきた。
5月の終わりに、
私の一番大好きな風景を見た。
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