top of page
YOKO

5月の終わりに



空気の気持ちよい日に、

8階の非常階段に久しぶりに出てみた。

実家に行く道はマンションの角で見えなくなる。


右手の公園は小さな森。

4面あるテニスコートも見えない。

野球場のナイター照明が出番待ちしている。


通った小学校も中学校も生まれた産院跡も

町並で見えないだけ。


夕陽が六甲山麓の峰に沈む準備をしている。


オレンジが濃くなった太陽に黒い雲の筋が見事に平行に二本、

右から夕陽に入った。


“ビックマック”

になった夕陽は峰にお尻をつき、

見知らぬ国の朝日になりに、

普通ハンバーガーで六甲の向こうに静かに沈んだ。


空と雲はパープルのグラデーションと、

夕陽の残照でまだまだ楽しませてくれている。


この時間に伊丹空港に離着陸する飛行機は幸運だ。

旅客機は、今日一番きれいな空をバックに

六甲に白い腹を見せながら左旋回で急上昇していく。



山がのっぺり黒くなってきた。


5月の終わりに、

私の一番大好きな風景を見た。








閲覧数:9回0件のコメント

最新記事

すべて表示

댓글


bottom of page