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奴凧

  • YOKO
  • 2023年1月24日
  • 読了時間: 1分

奴凧



夏の甲子園選抜大会が毎年行われる、

立派になった公園の球場は昔、

シンプルな野球場だった。


父と兄と裂けた金網をくぐり抜け、

新聞紙で足をつけた凧揚げをしに行った。

折りたたんだ固い紙にタコ糸がグルグル巻きで、

風に乗り上がり始めると面白いようにスルスルほどけていった。


空高く正月の青空に揺れる奴凧を支えるタコ糸はパンパンに張っていて、

針金みたいだった。

糸に手を添えただけの写真がある。私はいつもごまめだった。


奴凧になって、あの日の風景を見たい。


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