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YOKO

かくれんぼの行方


家でかくれんぼをした。

二歳にならない娘にすぐ見つかるよう。

 

ちょっとイタズラしたろ、、、、見つからない場所にひそんだ。

娘は無言で探し始めたが。

 

「かーか、、、かーか、、かーか??、、、かあか??」

「かーか?かーか?かーかああああああああああっっ!!」

 

“大絶叫断末魔の号泣”をしばし聞いたあと、

「おかあさんおるやんか~~~~!」

 

リビングの小さな仁王立ちの娘を抱き上げた。

 

高齢初産と産後ウツの子育てはしんどく、早く大人になってくれと幾度となく思った。

哺乳瓶を吸わせながら、いつになったらこの子と話ができるのか?

想像できない遠い遠い先に思えた。

 

「非日常」がしたくなった。

保育園帰りに大きな通園バックを肩にかけ娘の手をひき電車で梅田にでた。

 

喫茶店で晩御飯を食べさせ、大阪駅前ビルに銭湯があったことを思い出し、

お風呂まですませてやれ、、、と訪ねたがとっくに無くなっていた。

 

絵本と子守唄とモーツァルトのCDで寝かしつけの後、

ちょくちょく近くの焼き鳥屋に行った。生一杯と“ささみの梅しそ巻き”を食べ、

脳みそをフワンと気持ちよくさせて帰宅した。

 

ある日娘が昼寝から起きだした。めんどくさいから寝たふりをした。

 

「かーか、かーか、かーか、、、、」

 

私をゆり起こすこともせず夕暮れ時の薄暗い部屋で娘は、

子供椅子に座り静かに絵本を開いた。

 

おとなしい世話のかからない子だったのに私は、

「あんたは宇宙イチややこしいわっっ!!」と何度言ったことか。

 

なのに娘は無類の“お母さん大大大大好きっ子”だった。

つきまとわれるのがウザかった。ひとりになりたかった。

 

 

 

大人になった娘はどこで何をしているのか。しょっちゅう分からない。

 

親子連れの小さな女の子ばかりに目がいく。





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