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黒猫

  • YOKO
  • 2024年2月20日
  • 読了時間: 2分


築50年以上は経つであろう二階建集合住宅の解体が突然始まった。

日の当たらない路地にあり、

住人のお婆さんがしょっちゅう2人並んで玄関先に腰掛け、散歩で通りかかると

チワワを見ては、「かわいらしいねぇ」ニコニコ言ってくれていた。

 

野良の黒猫のために欠かさずフードが置かれていた。

 

ある夜、お爺さんが手押し車を入れるのに戸口で四苦八苦していた。

人も斜めになって入るような幅の狭い引き戸だ。

母親もよく苦労している。

両手にリード持ったままワンコ2匹連れてんのに、

どうやって手伝うんよ、、、と思いながら「手伝いましようか?」と声をかけた。

 

「いえいえ!大丈夫ですよ!有難うございます」

お爺さんは頭をさげ笑って言われた。

 

1人暮らしの後期高齢者たちはどこに行ったんやろうか。

黒猫はどこへ消えたんやろうか。

爆音をたてる解体現場の前を通りながらいつも考えていた。

 

晴天の日、外壁が無くなった伽藍洞の家の中は暗い続き二間があった。

玄関から二階直結の実家より狭く急こう配の階段もあらわだった。

 

ここいらに増えてきた小洒落た戸建てが建つかな、、、と思っていたら

ブロック数段が盛られ、上に背の高い立派なフェンスで更地は囲われた。

鉄塔でも建つのかな、、、と思っていたらフェンスの内側沿いに植樹がされた。

とても謎なゾーンになった。

 

お爺さんは、お婆さんたちは、、、、

明るいところに住んでいるのだろうか。

 

すべてが幻だったような、悲しい民話を聞いた後のような、

さみしい気持ちになるので夜は通らないようにしている。

 

黒猫を一度だけ見かけた。



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