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YOKO

さくら



―桜の木の下には死体が眠っている―

誰の言葉か日本の文豪か。


パンデミック初の春の夜、公園のベンチにチワワと座り

満開の桜の下で独りバーベキューをしている男性を見ていた。


満開の桜に赤やピンクの提灯は似合わない。


満開の桜はひっそりとした公園や、住宅街の薄暗い街灯の下がいい。

夜の桜の木枝は漆黒でいつも気味が悪いくせして、

目が吸い寄せられる。


50を過ぎたころ思った。

「自分はあと何回桜を見られるのだろう・・・」


死ぬことに恐怖は無い。

まばゆい光に迎えられ“昇り龍”となって舞い上がり成層圏を抜け、

宙に浮かび美しい地球を眺めながら、


「最近あの辺りにココロ配ってないな・・・」と気にかけている。


“全知全能の神”になったそんな夢を見たことがあるので、

正夢だと思っている。


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