銀行は合併合併でもうワケがわからん。
“テレビ窓口”ってなんだ。
リモートだのテレビ会議だのズームだの、
ハイソな世界とは無縁のわたし。
”テレビ窓口“とやらの窮屈な部屋に閉じ込められた。
目の前のモニター画面にマスクをつけた若い女子行員。
ほぼアップの顔。
オデコを出し、センター分けしている。
目の化粧も髪型も22歳の娘そっくり。
テレビなのに何故マスク。
口座の名字変更のため、
通帳とマイナカードとキャッシュカードを枠内に置かされた。
切り替わったモニターに映る自分の手の甲。
画素の粗さでその老いに気が滅入る。
そのうえ、他行のキャッシュカードを持参していた。
「あっ!!しまったっ!間違えたっっ!!」
「しまったぁ、、、、、色が似てるから、、、、、、ああ~~」
モニター上の小さなカメラに向かって言った。
『おはなしは目でしましょう』
小学校一年生の担任に教わった。
女子行員、無言。ノーリアクション。
これも娘と同じだ。
なんだこいつは、、、、、
AIロボットか?
アイボだって小首のひとつかしげるだろう、、、
「係員と次回の予約を取ってください」
ロボットに言われ退出し、
ベテラン風のおばさん案内係の元へ。
「これねぇ~間違って持ってきてしまってねぇ~、
ほら、色が似てるでしょう?」
「ここ、わたし小学生の時から口座もってるんですー」
「ありがとうございます~、似てますねえ~」
地球最後の人類とやっと会えた気分だった。
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