サンタクロースを信じたことは無い。
時期になるとスーパーニッショーに積み上げられる、お菓子の入った赤い長靴がイブの朝、
枕元に置いてあるからだ。
起きてあるのを確認し、兄とニヤッと笑った。
お菓子がからになると必ず履いてみようとした。
そして冬の冷気をコートにまとわりつかせ、
父が買って帰る駅前商店街エトワールの白いクリスマスケーキ。
兄妹の誕生日とクリスマス。
白地に銀色星模様の包装紙を何度めくっただろう。
ぷっくりしたご主人と、綺麗な奥さんの小さなお店だった。
とうの昔に整骨院に変わった。
エトワールだけ元旦も開いていた。元旦にエトワールが開いているのがお正月だった。
家族でイブにケーキを食べるのは、翌年に結婚する26歳まで続いた。
ロウソクをつけ電気を消してちゃんとする。
なので、彼氏とディナーやお泊りや、ロマンチック経験がない。
今は縁がない。
車内で慌ただしくプレゼント交換をし、普通に夕食を食べ、
8時までには帰宅しなくてはいけなかった。
父のエトワールが待っているのだから。
家族ができてクリスマスケーキを食べる前、必ず音痴なきよしこの夜を歌った。
歌詞が「みははの胸に眠りたもう」でなく「まぶね(ゆりかご)の中に眠りたもう」だった事を去年知った。
マリアさまの豊満な胸に抱かれる救いのみ子を何10年も思い浮かべていた。
幼児の娘が梅田で厚さ5センチはある、
それはそれは素敵なシンデレラの飛び出す絵本を見つけた。
これサンタさんにおねがいするうううう!!
うそやろ、やめてや、、、、
何千円もするし、買って帰るわけにはいかない。
本当に子どもはめんどくさい。
後日それを買うだけのために梅田に行くのが邪魔くさかったこと。
娘は南向きのベランダの空にむかい、マリア様の手をしてサンタさんにお願いした。
23日寝かしつけてから、父がジャパンで買ってくれたツリーの下に置いた。
英語で書いたカードも添えて。
イブの朝の喜びようはすごかった。
前年の勝手に買ったニッセンの、
カラフル腹巻セットはテンションが低かった。
まだ信じていた小学校低学年の時、
夫が「サンタなんておらんねんで」と娘に言った。
なにゆうてくれとんねん。
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