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YOKO

クリスマス

更新日:2023年1月31日


サンタクロースを信じたことは無い。

時期になるとスーパーニッショーに積み上げられる、お菓子の入った赤い長靴がイブの朝、

枕元に置いてあるからだ。


起きてあるのを確認し、兄とニヤッと笑った。

お菓子がからになると必ず履いてみようとした。


そして冬の冷気をコートにまとわりつかせ、

父が買って帰る駅前商店街エトワールの白いクリスマスケーキ。

兄妹の誕生日とクリスマス。

白地に銀色星模様の包装紙を何度めくっただろう。

ぷっくりしたご主人と、綺麗な奥さんの小さなお店だった。

とうの昔に整骨院に変わった。

エトワールだけ元旦も開いていた。元旦にエトワールが開いているのがお正月だった。


家族でイブにケーキを食べるのは、翌年に結婚する26歳まで続いた。

ロウソクをつけ電気を消してちゃんとする。


なので、彼氏とディナーやお泊りや、ロマンチック経験がない。

今は縁がない。

車内で慌ただしくプレゼント交換をし、普通に夕食を食べ、

8時までには帰宅しなくてはいけなかった。


父のエトワールが待っているのだから。


家族ができてクリスマスケーキを食べる前、必ず音痴なきよしこの夜を歌った。

歌詞が「みははの胸に眠りたもう」でなく「まぶね(ゆりかご)の中に眠りたもう」だった事を去年知った。


マリアさまの豊満な胸に抱かれる救いのみ子を何10年も思い浮かべていた。




幼児の娘が梅田で厚さ5センチはある、

それはそれは素敵なシンデレラの飛び出す絵本を見つけた。

これサンタさんにおねがいするうううう!!


うそやろ、やめてや、、、、


何千円もするし、買って帰るわけにはいかない。

本当に子どもはめんどくさい。

後日それを買うだけのために梅田に行くのが邪魔くさかったこと。


娘は南向きのベランダの空にむかい、マリア様の手をしてサンタさんにお願いした。

23日寝かしつけてから、父がジャパンで買ってくれたツリーの下に置いた。

英語で書いたカードも添えて。


イブの朝の喜びようはすごかった。


前年の勝手に買ったニッセンの、

カラフル腹巻セットはテンションが低かった。


まだ信じていた小学校低学年の時、

夫が「サンタなんておらんねんで」と娘に言った。


なにゆうてくれとんねん。

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