ニッポニアニッポン

戦メリ、芝居がへた。兄が買ったＹＭＯのレコード、ＴＯＫＩＯ、

矢野顕子の元ダン、教授、ＮＹ在住、ガン、アフラックのＣＭ。

アカデミー音楽賞。

イケメン。

2022年12月。

ＮＨＫで坂本龍一がピアノを弾いていた。

小さなコタツにちょこんと乗るテレビ。スピーカーは後ろに付いていて、

音質はすこぶる悪い。

なのに、

白黒画面に上半身がのめり込んだ。

節の目立つ老人の10本の指。

白髪の特徴的なヘアスタイル。

きれいに刈り上げられたうなじ。

目を閉じ顔を上げ、音色を確かめるしぐさ。

生きている事。生きてきた全て、何もかも。

吐く息、吸う息、ひとつひとつを。

老いた黒い10本の指が出す、

ピアノの一音一音を。

丁寧に丁寧に、

愛おしんでいるように見えた。

ピアノに言霊を初めて聞いた。

他界された夜アロマキャンドルをつけ、ピアノメドレーを聴いた。

夕方のニュースで見た、大原三千院の桜のライトアップ映像が浮かんだ。

池に映る夜桜が美しく幻想的だった。

空から降る紅葉、日本海の荒波、沖縄の海、東京の夜景。

里山で風になびく緑の稲穂、舞妓はんの後姿、

北海道の吹雪、富士山。雪上の鶴の舞、、、

全ての風景に坂本龍一のピアノをＢＧＭにしてみた。

全てが素晴らしかった。

“自分は西洋音楽をつくっているつもり”

2000年のインタビューで言っていたが坂本龍一は、

『ニッポニアニッポン』だった。