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不思議な日

  • YOKO
  • 2023年6月23日
  • 読了時間: 2分



2回目の離婚後、

夫の苗字を15年名乗りつづけた。

娘の成人を機に旧姓に戻すため大阪家庭裁判所に行った。


歳を重ねる程、

親の苗字に戻りたい気持ちが募っていく。

それが本当の自分であるような気がする。


誕生からの戸籍謄本を取り寄せた。

鳥取県、小田原市、池田市、現在。

封書で届いた謄本を持ったまま2度固まった。


父の母親が父の姓でない。

昭和7年、鳥取の片田舎で未婚の母で産んだのだ。


祖父は農業を嫌い大阪へ。産みの母は父を育てず、

父は祖父の母に育てられた事は知っていた。

親の愛を受けず育った父はこの上なく子煩悩で、

真面目で、家族を大切にした。


「子供を鍵っ子にさせてくれるな」母に言った。

小学校から帰ると病弱な母は身体を起こし、

暗い奥の部屋から「おかえり」

笑顔で言っていたのを覚えている。


もう1つは1回目の“東京の男”と結婚時の謄本。

目の前で離婚届を3回破られ、

酔って帰宅し別れないでくれと土下座し、

何か月も判を押さなかった夫は離婚の翌年、

ひと回り以上年下の東京の女性と再婚していた。


女性の誕生日、出生地、住所、両親の名。

父親が出生届を提出した日、、、

彼女の名は私の脳に焼き印された。


家裁のある谷町4丁目駅から地上への階段が長かった。


家裁近くの大木が強風にあおられ空から葉っぱを落とし、

大量の紅葉色を車のタイヤが巻き上げていた。

それは秋の風景だったが、

家裁玄関横の桜は咲き誇っていた。


家事課の窓口担当はジャニーズばりの可愛い男子だった。


私の60年に及ぶ“人生の紙”を順番に並べ、

丁寧に確認している。

“ハランバンジョウの60年”をジャニーズが目の前で、

ペラペラめくっている。

桜と紅葉を見ながら切手と印紙を買いにコンビニを往復した。

子を分籍しないと娘も私の旧姓になるとジャニーズが教えた。


こんな可愛い顔してエリートかぁ、未来は明るいなぁ、、、


帰りの地下鉄谷町線にドテっと座った。


「さいごに笑うものの勝ち」

「やるかやらんか迷ったらやる」

吊り輪に書いてあるのを交互に見ていた。

何も心に刺さらなかった。


すごい疲れた。


不思議な日だった。







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