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需要と供給

  • YOKO
  • 2022年12月23日
  • 読了時間: 1分

更新日:2023年1月31日



ずっと何故だか分からなかった。

駅前の散髪屋さんの前を通ると必ず見てしまう事が、

そしてポッと心が温かくなる事が、


ガラス張りの向こうで、

大人男性のてるてる坊主がズラリだったり、

アゴの泡でサンタクロースのおじさんだったり、

若い男子がてるてる坊主を見たくないのか目を伏せていたり、

そんなのが滑稽だったり、

真剣勝負顔の理髪師だったり。


十三商店街の、夏は大きいスイカのビーチボールを

軒先にぶら下げている古い果物屋さんで、

お爺さん店主がミカンの袋を、

年配のお客さんに渡してお金を受け取っているのを見て

これやと思った。


需要と供給が成り立っている。


隙間ない双方の幸福感か見えた。


そして散髪屋さんを思い出した。


サンタクロースのおじさんは、一ミリの不信無く、

刃物を持った人間に身をゆだねている事を。


そこには善がある。

散髪屋さんには、刃物をお客さんに向けている張り詰めた緊張感と少しの滑稽さの中、

「信頼と善」と人間の営みの「需要と供給」が一致する幸福な空気がみちみちている。


クルクル回る赤は動脈、青は静脈、白は包帯。


ガラス越しのチラ見の一瞬で、

心に平和の灯がポッとつく。


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